人間ドックのこんな内容
手術や治療はある種「技術」ですから、そういう人の腕前は、現役でバリバリやっている人より劣ることも多いといえます。
事実、お金にものをいわせて偉い先生に手術を頼んだものの、その後、傷の治りが悪かったり、癒着がひどかったりして、苦労された患者さんを何人も見ました。
「どうして、僕の傷は、こんなふうに皮層が飛び出ているのでしょうか」と質問されて、「それは手術の失敗です」とも言えず、「さあ、私は下っ端なのでよくわかりません。
主治医に聞いてください」と答えたこともしばしば。
偉い先生への謝礼も十分検討したほうでいいでしょう。
いただく謝礼の額でも、ずいぶん印象が変わって感じられます。
謝礼をもらい慣れている医者や公然と謝礼を要求する医者は、高いほうが喜ぶのでしょうが、ごく普通の医者には、何万円、何十万円という単位のお金はかえって心の負担になるように思います。
いかにも「お金を払っているんだから、優遇しろ」と言われているようで、身構えてしまうからです。
そうなると、「お金ですべてが解決すると思ったら大間違いだ」と機械的な応対だけをしたい気分になることもあります。
せっかくの好意でしたことが医者にとっては余計な負担になってしまう。
つくづく謝礼はむずかしいものだと思います。
同じ理由で、退院の際、「本当にお世話になりました」のひと言とともに菓子折りをいただくのは、受け取りやすいものです。
品物を贈るときはここに気をつけて「謝礼を払わなくていいと言われても、それでは心もとないものがある。
気持ちを何か具体的な形であらわしたい。
あまりスタッフの心の重荷にならず、こちらの感謝の気持ちを伝える方法ってないだろうか」と、よく相談を受けます。
そんな場合には、お金ではなく、ちょっとした差し入れをすることをおすすめします。
たとえば、長丁場の手術のとき。
医者や看護師は、数時間、ときには十数時間も飲まず食わずで治療にあたります。
手術終了後にご家族から、「長い時間ありがとうございました」と声をかけられて、飲み物や軽食が差し入れられたときは、それはうれしいもの。
自分の行なった治療への率直な感謝の気持ちなのだ、と素直に受け取れるからです。
差し入れの内容も高価なものである必要はありません。
フライドチキンやハンバーガーといったファーストフード、アイスクリーム、あるいはお菓子、お寿司、ごくごく普通のもので。
ただし、ここまではあくまでも「どうしても心を形にしたい」という方のためのお話です。
正直にいえば、菓子折りや差し入れは確かにうれしいのですが、いただきものの多い病棟だと三日もしないうちに、どれがどなたからいただいたものなのかわからなくなってしまうという現実があります。
医療スタッフにとって、いちばん印象的で、心に残るお礼は何だと思いますか。
それは、「ありがとう」という言葉です。
医者や看護師にとって、最高にうれしいのは自分の仕事ぶりが評価されること。
そして、患者さんやご家族から、「この病院にかかってよかった」と言われること。
実は、その言葉が何よりのご褒美なのです。
しかも、それが通り一遍のお礼ではなく、「手術の前の先生の説明がすごくていねいだったので、家族としては安心でした」とか、「手術のあと、トイレに行くのが不安だったけれど、看護師さんが気持ちを察してくれて忙しいのにずっとつき添ってくれたことを患者が喜んでいました」というように、具体的な例を挙げてお礼を言われたときにはとても印象に残ります。
それだけではありません。
そういった感謝の言葉は、医者や看護師の心の支えにもなり、彼らの成長を促すことにもつながっていくのです。
スタッフにとって心からの「ありがとう」の言葉は、お金では買えない最高のお礼です。
入院、療養生活というものは思わぬ出費がかさんだりします。
大黒柱が倒れて収入が激減、あるいは途絶えてしまうご家庭もあるでしょう。
金銭的に余裕がないのであれば、たとえ菓子折りひとつであっても無理をなさる必要はまったくありません。
患者さんの中には、「世話をしてもらって本当に悪いね。
すまないね」と過度に恐縮する方がいます。
「恐縮していないと申し訳ない」と思っておられるのかもしれませんが、あまりにも恐縮されると医療スタッフも戸惑うものです。
ときには、「こんなに恐縮させてしまっているのは、私たちの看護が悪いからかしら。
患者さんの気持ちや尊厳を傷つけているのではないだろうか」なんて、考え込んでしまうこともあるほど。
「ありがとう」は、医者や看護師に元気を与えますし、本人も家族も元気のわいてくる言葉です。
「申し訳ない」「すまない」という言葉が出そうになったら、「ありがとう」と言い換えてみましょう。
素敵な「ありがとう」の言える患者さんや家族のところには、不思議とスタッフの足もむかいます。
病気をされた方が、治療や看護にあたった医者や看護師に申し訳ないと思う必要は何ひとつありません。
医者や看護師は、病気の人のお世話をすることが仕事であり、患者さんはその仕事に対して報酬を支払っているのですから。
遠慮する必要はありません。
それに、医療スタッフはもともと世話好きな人間が多くて、むしろ、お手伝いできないことのほうが寂しいくらいなのです。
ただ、医療スタッフも、「やってもらって当然」という態度をとられると、やはりいい気持ちはしません。
必要以上に恐縮したり、卑屈になったりすることはありませんが、感謝の気持ちはあったほうが、人間関係がスムーズにいくでしょう。
では、どうやって気持ちを伝えたらいいのでしょう。
「申し訳ない」でも、「ああ、すまいなあ」でもなくて…。
そんなときは、「ありがとう」のひと言が、いちばんぴったりいくものです。
謝礼を求める医者には要注意。
特別な場合を除いて、謝礼は不要。
退院時や手術後の、ちょっとした差し入れは喜ばれる。
スタッフにとっていちばんうれしいのが、感謝の言葉。
「申し訳ない」より「ありがとう」を。
大切な人が「がん」といわれたら日常、どんなふうに病人に接していくか。
病人に対しての先入観は捨てること家族や親戚、あるいは親しい人が「がん」と診断を受けたとき、多くの方が、「これからその人とどう接していけばいいのか」という悩みを抱かれるといいます。
「がん患者さん」と聞くと、ほとんどの人はまず、「きっと、いつも病気のことで悩んでいて、想像を絶するような心と体の苦しみを抱えているに違いない。
めったなことはいえないから、話をするにも気が抜けない」と思われるようです。
だから、お見舞いに行くにも気は重くなってしまうし、ましてや家族であれば、「病院にいるときの数時間だけならまだしも、丸一日顔を合わせるとなると、どんな話をしていったらいいのだろう」と退院が決まってからも不安になったりします。
でも、実際はそんなに心配する必要はありません。
今までの日常生活にほんのちょっとの気配りをプラスすればいいのです。
確かに、重い病気をわずらうと誰しも気持ちは沈みがちになります。
しかし、人間はひとつの気持ちをずっと同じテンションで持ち続けることはできません。
どんなに楽しい遊びも、毎日続けていると色あせて感じられてくるように、どんなに苦しくて大変な状況も、多少は慣れてくるときが来ます。
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